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<2012年7月>

 

今、浴衣は「ゆかた」に

 松山では夏のある期間、毎週土曜夜市があり、浴衣姿の人も含めて賑わっています。長い間、松山を離れてから、着物に携わるようになってこの地に戻った私には、ここで土曜夜市が、毎週行われていることは嬉しい驚きでした。浴衣は、各地の夏祭り、花火等に何回か着るくらいという中で、このことは勇気づけられました。今年は6月23日から8月4日と聞いています。
23日から松山を離れ、京都から、そのまま群馬本校に帰っていますので、まだその様子は見ていませんが、松山に帰って様子を見るのを楽しみにしています。

 浴衣は着物の入り口であり、あまり難しいことは言わないで、自由に着ていいと思います。けれども、10代の人も、浴衣のことを知識として少しだけ知っていると、いいかもしれません。簡単に説明しておきます。

 浴衣は、湯帷子 ( ゆかたびら ) といって、平安時代貴族が沐浴 ( 蒸し風呂 ) の時、着たもので、麻でした。当時綿は少なく高級なものとされていましたので、下着は主に麻を着ていましたが、江戸時代になり、綿の生産が多くなって、庶民が今のような入浴の後、綿浴衣を着るようになりました。

 もともと 「ゆかた」 は浴衣の字から分かるようにお風呂上りに素肌に着たものです。浴衣については、素肌に素足で、夕涼みなど夜着るもので、日中、近所はいいとしても、電車に乗ったり、デパートへ行ったりするときは着るものではないと教えられました。今でも改まった場所で人と会う時は失礼にあたるので避けましょう。
シティホテルでは、 「浴衣で下駄」 は入れないところもありますが、最近の地方都市のシティホテルでは、大部分が、ビアガーデンなどもあり、浴衣姿で自由に入れるようです。私は、パーティー、宴会などで利用する時、事前に、そのことの確認をとります。

 最近、浴衣を着る人がまた多くなったようです。教室でもこの時期、浴衣の着方着せ方の授業がありますが、今は本来の着方ではなく、いつもと違った自分に変身する、他人に見せる等、美しく、カッコよくというのが第一優先で、求められるものが違ってきました。そうすると、下着はもちろん、ウエスト補正も必要になってきます。一番簡単なのは、タオルを広げて2枚つなぎ簡単に縫って長くし、幅を折って細い所に巻いてはさんでおくだけでも、帯が下がってこなくて、きれいな浴衣姿になります。また、タオルは汗を吸ってくれますので、一石二鳥です。

 色とりどりのファッション性の高いブランドゆかたに対して白紺の藍染もやはり人気です。藍色は、ほとんどの日本の女性を美しく見せると言われています。以前は、白系は昼間、紺系は藍染の藍の香りを虫が嫌うので、夕方から夜に着ることが多かったようです。今では白場の多いものは、夜目立っていいという人も居ますが・・・。

 これまで様々な着方がパッと出てパッと消えていきました。私も一時期気になり嘆いていたこともありますが、今思うと、浴衣は正式なものではないのだから、「何でもアリ!」で、いいのではないかと思うようになりました。

 (成人式の件は、振袖はミスの第一礼装であり、成人式は大切な儀式であること、立派な写真も残し、後で自分もまた、娘さんも見ることがあるので、極端な崩し過ぎはやはりやめてほしいと思います。)

今では 「浴衣」 と書くよりも、 「ゆかた」 の方がいいのかもしれません。 「ゆかた」 はファッションであり、着物の入り口でもあります。色とりどりのブランドゆかたや、低価格でセットで揃う色々な物が出ています。何でもありで、自由に着てみましょう。

 着方の流行も変わっていくようですがが、一方で、人も歳を重ねて色々なことを見たり経験することにより、感性も美的感覚も変わってきます。藍染の浴衣をきりっと着こなし、お袖の扱い、それに伴う立居振舞が自然にできるようになった時、本当の意味で、大人の女性になったと気づくかもしれません。

  

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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