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<2018年11月>

 

大人になれない大人を作る親の責任

 久しぶりに、この万華鏡のタイトルを初期から見ていて、この頃は何をどう考えていたのか自分が知りたくなって開いてみました。(2005年10月) 大切なことで、今でも考え方は同じです。

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学院長  いつからこんなふうになったのでしょう。子供には知らない人と話はしないように、学校には人を入れないように・・・

女性専用車両ができて喜んでいるのは女性だけではありません。知人から聞いたお話ですが、男性も「満員電車に乗るときは、つり革をつかまるか本を読むか、とにかく両手を上に上げている。痴漢に間違われないように・・これで安心して電車に乗れる」「会社の中でも冗談も言えない。セクハラといわれるから・・・女性とかかわるのが怖い 一人のほうがいい・・」

 みんな仲良くしたいのに、どうしてこんなふうになってしまったのでしょう。

 今は、いろいろな問題が起きていて、その対応にふりまわされているのが現状で す。その対応とは、ほとんどが防ぐこと、避けることで、これらはすべてマイナス思 考です。目の前の状況を解決していくには、仕方のないことかも知れませんが、この ままでは殺伐とした人間関係の中、ますます問題が起こり、人がもともと持ってい る、人を人として認め合い、尊敬し合い、愛し合える、素敵な人間関係が遠くなって いくような気がしてなりません。

これから大人になっていく子供達には、もっと自然体で、本人が正しい判断ができる ようにと、親が努力をすれば、もっといい人間関係が生まれるはずです。

そのためには、就学前と、小学生の頃の子供を持つ親のあり方、考え方、子供に不安 を与えない毅然とした姿勢が求められると思います。

子供を持っている人も、いない人も、たまにはこんなことを考えてみるのも必要なことではないではないでしょうか。

【本能を大切に】

 人は皆、本能的に きれいなもの、楽しいこと、心地よいことが好きです。

 今ではこんなこともしなくなったかもしれませんが、例えば、学校で何かの罰としてトイレ掃除をすること。そうすると、この子にとってトイレ掃除はいやなこと、屈辱的なこととしてずっと引きずります。本来ならば、掃除をするときれいになる・・気持ちがいい・・褒められた・・いい気持ち。となるのです。
小さいときから、いい気持ちをベースにしていくといいと思います。赤ちゃんがオムツが汚れると泣くように、きれいな環境は気持ちいいということです。少し大きくなると、いい気持ちは、自分が何かをがんばったとき、褒められたとき、ありがとうといわれたとき等々 ・・・となります。

 就学前に親は子供に「交通ルールを含めて社会のルール」と「相手の立場でものを考える」この二つを教えていれば、その他のことは、気持ちがいいか悪いか本能的なもので、ほとんど自分で判断できる子になります。
相手とは、人はもちろん 動物 植物 すべての 物に対してもです。一緒にごみの分別をする時、この後どうなるのか、こうするとどういういいことがあるのか、誰が喜んでくれるのかを話していくと、ごみを分別して捨てるたびにその子はいいことをしたのでいい気持ちになります。また何かを使ったら、後で使う人のことを考えさせる。そうすると、だんだんそれをしたときに褒められなくてもいい気持ちになります。嘘をついたりいじめをすると何となくいい気持ちがしない、落ち着かない。自然にそういうふうになります。
理屈ではなく、この気持ちがいい、悪い感覚は大人になっても自然に出てきます。

就学前に親が教えることはこういうことで、勉強は学校で教えてくれます。最近、親がすべきことを学校に求めすぎているように思います。

【子供には求めるときだけ真正面から】

 お母さんに手を引かれたよちよち歩きの子供が、手から離れて一人で歩き、またお母さんの手をつなぎに戻る姿を見ても、こどもは 母親の存在を確認しながら一人歩きをしたいものです。親の役割はひとり立ちさせることで、子供が求めていないときに、かまい過ぎないことが大切です。けれども放任ではありません。よく観察することです。
たまに、子供は行動に出さなくても、親を求めているときがあります。そのときには真正面から向かってあげることが大切です。小さい子の場合はしっかり抱いてあげること。話の分る年齢になると、その子の目の高さで話を聞いてあげること。
一つだけ注意点があります。その子の年齢に合わせようとして、自分がその子と同じ年齢の頃を考えても、今の子とは大分差があります。無理に意識しないで、本気で向かい合い本音で話すことです。子供は親の話すことが理解できない部分があっても、本気で自分の話を聞いてくれていることは分ります。それは大きな力になります。

【最終決定は本人にさせる習慣】

 小さいときからできるだけ自分で決めさせる習慣をつけておくといいと思います。まだ自分で決めるのが難しい頃は、分りやすい選択肢を与えます。ほとんど思っているのと同じことでも、子供に、自分のことばで言わせます。
もう少し大きくなると、相談をしてくることがあります。その時はきっちり受けとめて相談にのります。また本人が迷っているときは親が待つ余裕も大切です。

 進路の決定も本人に決めさせますが、親として考えてみることは、子供の頃から、ふと気がつくと夢中でしていることがあったら、その方面がその子に向いているのかもしれません。そのことをことばで教えるのではなく本人に気づかせる工夫をすることは必要かもしれません。

 絶対にいけないことは、親の見栄で子供の進路を決めることと、自分ができなかった夢を子供に託すことです。子供の人生は初めは真っ白 すべて子供のものです。本人が色をつけていくものだと思います。
けれども不思議なもので、持って生まれたDNAか、環境がそうさせるのか、結果的に、親と同じ道を歩く人が意外と多いのも事実です。それはそれで素敵なことだと思います。

万華鏡 2005年 10月より再掲)

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同じと思っていましたが、違うところがありました。表現です。当時始まって間もない頃は、先生として上から目線の表現であり、今は自分の弱い部分もためらわず表現して、教える人教わる人も同じ『共に高く』を掲げて進めてきました。これは私自身の成長でもあると感謝しています。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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